「スクリーンリーダー」というソフトを導入する必要のないのが理想?

視覚障害者がPCを使う上で、ほぼ必須になるものが
「スクリーンリーダー」というソフトである。
これは、表示されているテキストなどを読み上げるソフトなので、
一般に、導入する必要があるのは当たり前の話である。

なぜ、こんなことを考えているかというと、
iPhone4Sを購入してから、いろいろとアプリを入れて研究、
もとい、遊んでいた。

やはり、中にはVoiceOverで使っていて、
「ボタン」と読み上げてしまって、それが何のボタンであるか分からなかったり、
画面上では何かを選択しているものの何も読まなかったりと
しばしば困ったことになってしまう。

一応、カスタムラベルの設定もできるのだが、
難しいし、そもそも、読み上げるようになっていればそんな苦労はしないのである。

ここで、PCの場合を考えてみると、
スクリーンリーダーで快適に使えない、Windowsで動くあるアプリケーションソフトがあったとする。
そうすると、まず読んでくれるようにソフトメーカーに要望を出すのが考えられるが、
スクリーンリーダーは世間一般に浸透しているわけではないので、
たいていは、ソフトメーカーの人も「スクリーンリーダーって何ですか?」となり、
その説明から始めなければならない。
で、説明をするものの、スクリーンリーダーは他社のものだから、十分に対応できない場合が多い。
技術的には特定のスクリーンリーダーに対応させるべく開発することもできそうだが、
個別対応みたいになってしまって、会社としては利益にならない場合が多い。
一方、スクリーンリーダーのメーカーに問い合わせると、違った回答が得られるかもしれないが
根本的な解決にならない場合が多い。

PC周辺機器の説明書にある、
「○○との接続に関しましては製品の取扱説明書をご確認ください」という状況である。

ひどい話になると、アプリがバージョンアップをしたおかげで
使えなくなったということもよくある話である。
これではせっかく購入したものが無駄になってしまう。

世の中には、スクリーンリーダーといえば、いくつか種類がある。
私もどれくらいの数があるのか、正確には分からないのだが、5つくらいは思い浮かぶ。
で、同じOS上の同じアプリでも、
スクリーンリーダーで使える、使えないというのもある。
これがまた厄介で、どうしても使いたいアプリがあって、その上でスクリーンリーダーを決めるのか、
手持ちのスクリーンリーダーに合わせて使うアプリを決めるのか、
ケースによっていろいろ考えられるが、アプローチが複数存在する。
スクリーンリーダーを複数導入するのも手段の一つだが、
スクリーンリーダーは専用ソフトという側面もあって、高価なものが多い。
誰でもそんな環境が構築できるわけではない。
人によってスクリーンリーダーが違うと、話が合わなかったり
全く別の機械に思えてしまったりと、何かと使いにくかったりする。

つまり、視覚障害者がPCを快適に使うためには
OS、アプリケーションソフト、スクリーンリーダーの3つが
上手くかみ合わないといけないのである。
もちろん、OSとアプリは対応しているのが当たり前だが、
そこにスクリーンリーダーが絡んでくることで、問題が発生しているのである。
もちろん、この3つのどれにも非がないのは言うまでもない。

なぜこんな話をするのかというと、
話は戻るが、先日、iPhone4Sを使っていて、
VoiceOverでボタンが上手く読み上げないアプリがあったので、
Twitterで改善要望を出した。
内容は、まさにそんな感じの内容である。
すると、次の日に返事が返ってきた。
「ありがとうございます。検討します。」と。
たったこれだけのことだが、たったこれだけのことが、今まではできなかったのである。
小さいことかもしれないが、このプロセスを踏めるようになったというのは、ある意味革命的である。

このようなことが可能になったのは、
まず、iPhoneは爆発的に売れているのでユーザー数も多く、アプリも開発されやすい。
大量になれば高品質になりやすい、ということである。
なんと言っても最大の利点は、VoiceOverがOSの機能として搭載され、
OSとハードウェアが一つの会社で開発されていること。この一言に尽きる。
なので、VoiceOverはある程度は認識されているし、
アプリを作る際やVoiceOverに対応させようと開発する際も
スクリーンリーダーのように、別途、何かを導入する必要は無く、iOS搭載機器さえあればいい。
開発者なら、動作確認のために当然持っている。
また、スクリーンリーダーとアプリ、またはスクリーンリーダーとOSとの関係で発生する
相性や不具合の問題が一気に解決する。
アプリとOSの問題はPCでもスマートフォンでも発生するが、
アップデートで解決するので、ユーザーとしては負担になることは少ない。
こういうところで安心して使えるというのは、
敷居が格段に低くなって、一般ユーザー層にも裾野が広がる要因になり得る。

OSに読み上げ機能が実装されていること。
これがどのOSにも統合されれば、
スクリーンリーダーという類のソフトは必要ないのでは、とさえ思う。

とはいえ、スクリーンリーダーの存在を否定するものではなく、
それが、視覚障害者とPCをつなげる革命的な存在になったことは紛れもない事実なので
その点は、しっかりとおさえるべきである。
ただ、スクリーンリーダーが介在することで起きている固有の問題が
視覚障害者のPC環境の進化を妨げていることや
PCを使うことに対する敷居を高くしている要因になっているというのは、少なからずあると思っている。
そういう意味では、読み上げ機能をOSと統合することによって、
何かしらの爆発的な進化を遂げる可能性があると信じたい。

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